雇入れ時時安全衛生教育(アルバイト・日雇い・派遣社員にも必須です!!)

知っていましたか?実はパートタイマー、日雇いバイト、派遣でも必要です。

安全衛生教育についてどのような印象をもっていますでしょうか?大手企業でも適切に運用できていないケースがありますが、アルバイトや日雇いバイトの様な働き方の労働者に

も実施しなければならない義務であることを知っていましたか?雇入れ時の安全衛生教育は労働者安全衛生法は事業者に課せられた義務であり、罰則のある規定です。

労働基準監督署からの是正勧告、場合によっては行政罰を受ける法律となっております。今回は、雇い入れ時の安全衛生教育について理解を深めていきましょう。

雇い入れ時安全衛生教育とは?

安全衛生教育は3つの種類があります。「①雇い入れ時、作業変更時安全衛生教育」「②特別教育」「③職長教育」となります。

今回は雇い入れ時安全衛生教育について深堀します。

・雇い入れ時安全衛生教育とは??

労働安全衛生法第59条1項2項 労働安全衛生規則第35条が根拠の教育です。

すべての事業者は、労働者を雇い入れた時、労働者に対してその従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければなりません。

またこの規定、労働者の作業内容を変更したときについても準用されます。

この安全衛生教育については十分な知識及び技能を持っている労働者は「教育事項」を省略することができるという例外を除き、すべての労働者に実施する必要があります。

すなわち「アルバイト」「日雇い」「パート」 のような短期間の就労を予定している労働者に対しても実施しなければなりません。

違反した場合は50万円以下の罰金という罰則が課される場合があります。

これに対し入社時健康診断は「常時使用される労働者」を対象に実施することを義務付けられています。

この常時使用される労働者の条件は、以下のどちらかを満たす場合は実施が必要です。

 ・1週間の労働時間が通常の労働者の所定労働時間「3/4 以上」のもの 

 ・1年以上(一定の危険業務においては6か月以上)雇用されるもの

入社時健康診断は実施しなくて良い労働者に対しても、入社時安全衛生教育は必ず実施しなければなりません。

なお、派遣労働者についてはその雇用主である派遣元に実施義務が発生します。

入社時安全衛生教育の実施項目

労働安全衛生規則第 35 条に実施項目等の記載があります。下記8項目について教育を遅滞なく、実施しなければなりません。

1 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
2 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
3 作業手順に関すること。
4 作業開始時の点検に関すること。
5 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
6 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
7 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
8 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

※現行の法律では、一定の業種の事業場の労働者については、第(1)号から第(4)号までの事項についての教育を省略することができます、しかし2024年4月の法改正により省略ができなくなります。

入社時安全衛生教育を実施しないことのリスク

行政罰、行政指導のリスク

労働基準監督署の臨検や、実際にケガが発生した際に教育の実施を確認される場合があります。

監督署実施していないことが確認されれば、注意・勧告・場合によっては罰則が課される可能性があります。

・ガバナンスコード

2022年東証再編に伴い、新ガバナンスコードが2021年6月に発表されました。その中には「法令違反・不祥事が起きないような体制の構築」があり、上場企業は今まで以上に取引先に法令順守を求めることが考えらます。違反が確認されれば、「新規取引ができない」「取引が中止される」のようなリスクがあります。上場している場合は、社会的信用度を下げてしまうというリスクがございます。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などに長期保有株に選定されない等のリスクが考えられます。

・ISO、FSSC、IATFなどの国際規格認証が受けれなくなる。

上記のような国際規格には「法令順守(コンプライアンス)の推進」や「遵守のための仕組化」「ガバナンス強化」等が求められます。

代表的な規格として「ISO9001」(品質マネジメントシステムに関する国際規格)があります。

その要求事項の中に「適切な教育・訓練があること」、「教育を実施した場合には有効性を評価すること」、「記録を保持すること」があり、実施していなければ取得ができなくなり、場合によっては既存の取引先との取引ができなく可能性をはらんでいます。

大手メーカーの中には「取引先基準」を定めており、「指定の国際規格の認証を取得していること」等を条件として設けているところもあります。

書類の保管義務

安全衛生教育に関しての保存義務を下記にまとめています。

保管書類法定上の保存期間
入社時・作業変更時安全教育の記録義務なし
職長教育の記録義務なし
特別教育の記録3年間
(参考)健康診断個人票5年間

実は入社時・作業変更時の安全衛生教育の記録に法定上の保存義務はございません。

しかし、上記リスクを鑑みた時には、法定上の義務を履行している証拠として、最低3年間は保存しておくことをお勧めいたします。

どのように保管すべき

ISO9001の要求事項に合わせた保管方法をお勧めいたします。

ISO9001は業種・業態を問わず、あらゆる組織が対象の品質管理基準であり、最もポピュラーな規格の一つです。また、ほかの規格のベースとなっている部分もあるため、

まずはISO9001に準拠した保管方法をお勧めしております。具体的には下記点をフォーマットに落とし込み、運用すればよいかと思います。

①実施日時 ②講師名 ③受講者 ④教育目的 ⑤カリキュラム 

⑥受講者の感想、所見 ⑦講師あるいは上長などによる評価 ⑧有効性の確認 ⑨保管期限 

仕組化が重要

人の出入りが多い場合、この安全衛生教育の対応に苦慮するかと思います。しかしながら法律で決まっている必須の義務となっておりますので、「対応が大変だからしなくてもよ

い」という性質のものではありません。必ず行わなければなりません。漏れなく実施していくには仕組化がとても大切です。例えば、エントリー時や登録時に動画で見れるように

することや入社日前日に実施するなど、実施タイミングをルール化することをお勧めします。

※ただし雇い入れ時安全衛生教育は、労働者をその業務に従事させる場合に労働災害等の防止を図るため、事業者の責任において実施しなければならないものであり、その時間は

労働時間と解されますので、賃金は支払う必要があります。

仕組化がうまくいかない場合や実施方法がわからない場合等のときには、社会保険労務士や労働安全コンサルタント、産業保健総合支援センター等を頼るようにしましょう。

執筆者

社会保険労務士法人ユナイテッドグローバル 

代表 社会保険労務士 川合 勇次

大手自動車部品メーカーや東証プライム上場食品メーカーで人事・労務部門を経験後、京都府で社会保険労務士法人代表を勤める。企業人事時代は衛生管理者として安全衛生委員会業務にも従事し、その経験を活かして安全衛生コンサルティングサービスも展開。

単なる労務業務のアウトソースだけでなく、RPAやシステム活用することで、各企業の労務業務の作業工数を下げつつ「漏れなく」「ミスなく」「適法に」できる仕組作りを行い、工数削減で生まれた時間を活用した人材開発、要員計画などの戦略人事などを行う一貫した人事コンサルティングを得意としている。

※本記事はあくまで当職の意見にすぎず、行政機関または司法の見解と異なる場合があり得ます。
また誤記・漏れ・ミス等あり得ますので、改正法、現行法やガイドライン原典に必ず当たるようお願いします。

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