給与明細の電子化に必要な手続き【オプトアウト方式の同意ができます!!】

給与明細の電子化が進む中、法令や手続きに関する要件もアップデートされています。特に令和5年度の税制改正では、給与明細の電子交付に関する新しい規定が設けられました。本記事では、給与明細の電子化に必要な手続きとともに、令和5年度税制改正における主な変更点について解説します。


給与明細の電子化に必要な手続き

給与明細を電子交付するには、以下の手続きが必要です。

  1. 従業員の承諾取得
    • 電子交付を行うには、従業員の書面または電子的な方法での事前同意が必要です。
    • 同意しない従業員には、紙の給与明細を提供する義務があります。
  2. 通知の実施
    • 電子交付を希望する場合、従業員に通知を行い、同意を求めます。通知の内容や手順を適切に管理することが重要です。
  3. 閲覧環境の整備
    • 従業員が給与明細を容易に閲覧できるシステムを導入します。インターネット接続環境やモバイルデバイスでのアクセス対応も考慮する必要があります。
  4. 情報セキュリティ対策
    • 電子交付を行う際には、個人情報保護のため、システムの安全性を確保することが求められます。

令和5年度 税制改正における源泉所得税関連の主な改正内容

給与明細の電子化に関連し、令和5年度の税制改正では以下の改正が行われました。

電子交付における「承諾みなし規定」の追加 (オプトアウト方式)

給与支払明細書や給与所得の源泉徴収票を電子交付する際に、承諾を得るための手続きが簡素化されました。

  • 改正内容
    給与等の支払者(雇用主)は、従業員に対し次のように通知することが可能になりました:
    「給与等の支払をする者が定める期限までに、電子交付を承諾しない旨の回答がない場合は、承諾があったものとみなします。」
    この通知後、期限までに従業員から回答がない場合は、承諾が得られたものとみなすことができます。
  • 適用時期
    本改正は、令和5年4月1日以降に行う通知から適用されます。
  • 関連情報
    詳細については、国税庁のQ&Aをご覧ください:
    給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A

電子化における留意点

  1. セキュリティ対策
    • 個人情報保護のため、システムの暗号化やアクセス制限を導入します。
  2. トラブル対応
    • システム障害やネットワークトラブル時にも給与明細が確認できるよう、代替手段を用意する必要があります。
  3. 従業員への周知
    • 電子化を進める際は、手続き内容や改正点を従業員に十分に説明し、理解を促すことが重要です。
  4. 法令遵守
    • 法改正に対応しつつ、適正な運用を行うことが求められます。

まとめ

給与明細の電子化は、効率化や利便性の向上が期待できる一方で、従業員の同意手続や法令遵守が重要です。特に、令和5年度の税制改正では、電子交付における手続が簡略化され、導入のハードルが下がりました。

企業としては、適切なシステムの導入と従業員への周知を徹底し、安全かつ円滑に電子化を進めることが求められます。改正内容を踏まえ、効率的で安心な給与明細の電子交付を目指しましょう。

詳細情報は以下をご確認ください:
国税庁:源泉所得税の改正のあらまし(令和5年4月版)

執筆者

社会保険労務士法人ユナイテッドグローバル 

代表 社会保険労務士 川合 勇次

大手自動車部品メーカーや東証プライム上場食品メーカーで人事・労務部門を経験後、京都府で社会保険労務士法人代表を勤める。企業人事時代は衛生管理者として安全衛生委員会業務にも従事し、その経験を活かして安全衛生コンサルティングサービスも展開。

単なる労務業務のアウトソースだけでなく、RPAやシステム活用することで、各企業の労務業務の作業工数を下げつつ「漏れなく」「ミスなく」「適法に」できる仕組作りを行い、工数削減で生まれた時間を活用した人材開発、要員計画などの戦略人事などを行う一貫した人事コンサルティングを得意としている。

※本記事はあくまで当職の意見にすぎず、行政機関または司法の見解と異なる場合があり得ます。
また誤記・漏れ・ミス等あり得ますので、改正法、現行法やガイドライン原典に必ず当たるようにお願いいたします。

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